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社会・環境 2008.09.30

「奨学金」ならぬ「奨働金」のススメ

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P1000610.JPG8月のシンガポール出張の機内で石田衣良氏の「池袋ウェストゲート・パーク」を一気に読んだ。「日経ビジネス」の書評でも書いたが、なかで「非正規レジスタンス」という短編が心に残った。
 ワーキングプアの20代の青年が主人公、寝泊まりはネットカフェ、健康保険もなく病気もできない。こうした青年はいま増えている。一生懸命に働いているのに現実の生活から抜け出すことができない。
 私は、今まではこう考えていた。自由主義は尊い。競争は排除されるべきではない。しかし、そこでは必ず格差が生まれてしまう。その格差はセーフティネットで救えばいい、と。
 「非正規レジスタンス」を読んでその考えが微妙に変化している。一生懸命働いても日々生活するのにお金が消えていたらその生活から脱出するのは不可能と言っていい。タネ銭がない故に現実から抜け出せないのだ。自転車操業的な生活から抜け出すための「奨働金」を貸してはどうだろうか。お金がない学生には「奨学金」の制度がある。その労働者版である。最低限、生活の拠点となるアパートを借りる資金、正社員となって最初の給与が出るまでの1ヵ月の生活費。タネ銭があれば、意欲のある若者は救えるのではなかろうか。
 時あたかも、厚生労働省がネットカフェ難民の就労を支援するため、公共職業訓練の受講を条件に、訓練中の住居・生活費として月15万円を融資する制度を考えているというニュースが伝わってきた。期間は3~6ヵ月。期限が区切られなければ甘えの温床になるだろうが、有期であるならこれはいい制度だと思う。あとは運用だ。
 労働の多様性はあっていいと思う。しかし、最低限の支援がそこにあってもいいのではないかと私は思う。

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