
大阪市の橋下徹新市長は12月6日、同市市営地下鉄の完全民営化を指示したことが新聞で明らかになった。地下鉄民営化は、橋下氏が市長選マニフェスト(政策綱領)に掲げた目玉施策の一つ。
副市長に中田宏前横浜市長の名前が浮上したり、顧問として元経済産業省官僚の古賀茂明氏が取りざたされるなど、橋下氏の周辺は賑やかだ。
今回の大阪市長、府知事選挙の結果を見ると、「民意はすごい」という一言。
橋下氏は、自民、民主、共産党の組織票に打ち勝ったのだから、これは評価されるべきだ。11月26日の「ジャーナル」でも書いたが、「君主は舟であり、人民は水である。水は舟を浮かべることもできるが、転覆させることもできる」(「貞観政要」)。まさに今回は、大阪府民、市民が既存政党の舟を転覆させた。
しかし、だ。敢えて苦言を呈しておきたい。
橋下氏が率いる「維新の会」は府議会で過半数を占める。市議会でも第一党だ。橋下氏自身が会の代表で、府知事に当選した松井一郎氏が幹事長を務める。
国と地方は違う。
地方政治は有権者が首長と議員を直接選ぶ。直接選ばれた首長の権限は大きく強い。だから、議会は党派を超えて首長の政治姿勢や政策を監視しているのだ。この役目は大きい。
首長が地域政党を率いて議会で過半数を抑えてしまうと、その議会の役割が後退してしまう。まさに独裁制。有権者が首長も議員も選んだのだからいいだろう、と言うかもしれないが、私は、牽制なき権力は危険だと考える。