
海外の日本食のレベルが近年高まっている。このほど訪れたタイでも実感した。
タイで「FUJI」といえば富士山ではなく日本料理レストランを指す。タイ全土に多くのチェーン店を持ち、タイでの日本料理の普及に大きく貢献している。二十年近くの歴史があるだろう。値段も手ごろで食事時はどこも満員だ。グループ店に「築地」や「新大黒」、「マルコポーロ」などがあり、あらゆる価格帯に対応している。
この「FUJI」を中心にタイの日本食レストランは激しい競争が行われている。
なぜこのようにタイで日本食レストランが拡大しているかと言えば食材が簡単に手にはいることが大きい。タイは日本の食品メーカーにとって一大生産拠点になっている。大手食品メーカーはほぼ、間違いなくタイに工場を持つ。タイで食材を生産し日本に輸入するのだが、当然、現地で売れればそれに越したことはない。
加えて大きいのはタイの経済回復。タイ国家経済社会開発庁の発表によると、09年第3四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前期比プラス1.3%だった。製造業と輸出の回復で2四半期連続でプラス成長となった。第4四半期のGDPは前年比2.7~3.2%プラス、2010年はプラス3.0~4.0%との予想が出ている。タイ商工会議所大学(UTCC)の国際貿易研究所によれば、今年のタイの輸出額は前年比10.5%増だというからその回復ぶりに驚く。
翻って日本。政治家の方々とお話しさせていただく機会も多いが、申し訳ないがコップの中の嵐のような話が多い気がする。ビジョンや国家百年の計の話を聞いたことがない。
これでは目先の国内経済の回復もおぼつかないだろう。
ある経営者の知人がこうおっしゃっていた。
「政治は10年先のGDPから語るべきだ」。もっともな意見だ。そこから引き戻してきて今何をやるか決めるべきだ。
タイの回復ぶりを目の当たりにして、つくづく日本の危うさを感じた。