
7月27日、「株式会社日本農業再生パートナーズ」という会社が立ち上がった。整理回収機構(RCC)の奥野善彦前社長や、農林水産省元事務次官の高木勇樹氏など16人が発起人に名を連ねた。私もその1人だ。
国はこれまで、生かさず殺さずで農家の生活を守ってきたが、農業の育成は怠ってきた。農業を育成するためには、競争力の高い農家や生産法人を増やしていく必要がある。国がばらまいているお金を集中投入すれば、日本の農業は必ず立ち直る。農業の事業再生の枠組みを作り、民間から政策誘導していきたいと考えている。
具体的には、新会社は、要請のあった法人や農家の資産を査定し、生産効率化などによって再生可能な案件を選ぶ。そして、銀行や農協などの貸付債権や、飼料会社などの売掛債権を買い取るほか、つなぎ融資や第三者割当増資の引き受け、資材の代理仕入(商社金融)などの形で経営支援する。事業再生にあたっては、法律面は奥野氏が所長の奥野総合法律事務所が、会計面は監査法人のトーマツが支援する。
要するに、産業再生機構のやり方を農業に持ち込もうというものだ。まずは10億円を集め、ファンドを作る。銀行や農協には多くの不良債権があり、ファンドへの売却にも前向きと聞いている。
しかし忘れてならないのは、そもそも農業の損益分岐点が高すぎるという点だ。われわれ経営のプロがやっているワタミグループの農業生産法人ワタミファームですら、ブレークイーブンがやっとだ。ワタミファームの場合、ふぞろいの野菜でもグループ会社の外食チェーンに提供し、収益をやっと保っている。こうした経営力がないと赤字が出てしまうのも当然と言える。
損益分岐点が高ければ、売上げを上げるか、経費を下げるかしなければ、潰れてしまうのは当たり前のことだ。今回の九州中国地方の豪雨のように気象の影響も受ける。もっと、損益分岐点が低くなければやっていけるはずがない。
われわれの今回の取り組みは農業を潰さないぎりぎりの方法と思って欲しい。
農家は助けても、農業を見捨ててきた国の政策の間違いに気づいてほしいと思う。