
総務省は6月30日に労働力調査を発表したが、その数字に驚く。
5月の完全失業率(季節調整値)は5.2%と4カ月連続悪化、5年8カ月ぶりの高水準の数字となった。完全失業者数は347万人と7カ月連続で増加し、前年比では77万人増と過去最大の増加となった。特に35歳から44歳の働き盛りの年齢層での失業者の増加が目立っている。雇用情勢の悪化のスピードはかなりのものだ。
エコノミストの意見を聞くと、「この先、完全失業率は8カ月程度悪化し、過去最悪の5.5%を更新、6%近くまで悪化する」との見通しまで出ている。
納税と雇用。自由主義社会を守る大事な要素だ。特に雇用は自由主義社会のベースにある。その雇用が崩れているのだから、一大事だ。
雇用を守ろうとして政府は財政出動に動く。俗に言うケインズ政策だ。政府は14兆円という巨額の補正予算を組んだ。
ここで思うのが「日本を経営する」という発想だ。経営者なら自社のバランスシートと損益計算書、キャッシュフローが頭の中に入っている。日々と言ったらオーバーだが、恒にバランスシートが頭の中で変動する。返す当てのない借金で(収益性の見えない)投資など絶対にやらない。バランスシートがすぐに悪化してしまう。
日本という国で考えれば、税金は減ってくる(売り上げ減)、その中でいかに、あるおカネの中で雇用を創出するか(コストパフォーマンスを上げるか)。ぎりぎりの投資を考えるだろう。
それがどうだ。
補正予算14兆円の財源のうち、赤字国債3.5兆円、公債金(=建設国債)が7.5兆円を占める。公債金は公共施設建設以外に支出できない。要するに箱モノだ。道路や港湾、施設などハードへの支出が半分以上も占めるのだ。
経営的な発想をするなら、明日につながる投資をするだろう。明日につながるとは、かっこいいスローガンではなく将来収益を生み出すという意味だ。農業や介護や医療。こうした分野こそ未来に収益(雇用と税金)を生み出す。箱モノが生み出す収益には限界がある。
日々、完全失業者は増え続けている。
日本を経営するものの責任は重い。