
私は縁あってカンボジアで小中学校・孤児院を建設する「スクールエイド・ジャパン」という活動を、ご賛同いただける方と一緒に行っている。始めて8年半、この春で建設した小中学校は100校を超えた。
そんなカンボジアを悲劇が襲ったのは、今から30年ほど前のことだ。1970年代後半、カンボジアのポル・ポト政権(当時)が約170万人もの人を虐殺や餓死に追いやった。170万人といえば、国民の4分の1の数字だから凄まじいものだ。
事件の真相究明と、責任を問うカンボジア特別法廷が2月17日開かれた。政権崩壊から30年を経て初めて開かれたという。
当時のカンボジアは何でもありだったのだろう。自分の命を守るために家族さえも"うった"という話を聞く。まさに魔女狩りの状況だ。
現在私が接するカンボジアの人はみな明るい。そうした人と会っていると、過去を暴いてどうなるのかという気持ちになるのも確か。人間の中には狂気がある。恐怖に呵まれ狂気のスイッチが入ってしまったのだろう。集団催眠のようなものかもしれない。
一般国民を恐怖のどん底まで追いやった指導者の責任は重い。指導者層を裁くことは必要だろう。しかし、一般兵士、国民の責任まで問うのは厳しいだろう。
30年経っても、カンボジアの傷は癒えない。だからこそ、微力だが社会の再生のお手伝いが出来ればと思っている。
3月中旬、カンボジアに行ってきた。半年ぶりに訪れた孤児院「夢追う子どもたちの家」の子どもたちは55人に増えた。今後、80人へ増える予定だ。訪問3日目の最終日、中学2年生の女の子が私のもとへ恥ずかしそうにやってきた。「日本語・クメール語の辞書を買って欲しい」。消え入るような小さな声のお願いだった。将来、スクールエイド・ジャパンで働きたいので日本語を勉強したいとの理由だった。なんてステキな「おねだり」なのだろう。
私の心に幸せの灯がまた一つ、ともった。