渡邉美樹.net | 大人の責任 子供たちの未来のために

介護 2006.03.06

ご入居者様の喜びが我々の喜び

※2006年3月6日発行の「CLUB USEN」のインタビューで渡邉が答えた内容を一部紹介します。

サービスという概念をもっていないとできない
我々が今考えているのは、圧倒的な価値のある介護施設の提供です。価値とは価格分の商品力。食事をはじめとするサービスそのもの、内装、くつろぎ感、清潔感、あるいはそこで生活する幸福感とか、そういうものすべてが商品力であり、それをどこよりも安く提供することが最大の価値を生むと考えています。
福祉とサービスは違います。今までの介護業界は福祉業界ですから、もっといいサービスをとか、もっと尽くそうといった発想は残念ながら持てていないのが現状だと思います。なぜなら、特に施設介護では一度入居したら、なかなか出ていくとは言わないですから。お店なら、ダメだと思えば「もう来ないよ」と言えるけど、介護施設の場合はそうではない。そこそこのサービス、そこそこの食事、そこそこのお世話であるなら問題は起きないわけです。それは福祉の甘えだと僕は思います。そうではなく、これでもかというくらいのサービス精神をもって、今日一日のその方の満足感をいかに高めていくか、それが我々の考え方です。そういう切り口はサービスという概念をもっていないとできないと思います。

ワタミのサービス精神を介護の世界の当たり前にしたい
例えば従来の食事は30分前からご飯をよそっているんです。なぜならサービス精神がないから。全部並べて「はい、出来ました」とご入居者を呼び、一斉に食事をさせる。僕はそれを見た時に「なんで冷たいご飯や味噌汁を食べさせるの?」と素朴な質問をしたんですが、彼らにとってそれは当たり前。サービスじゃないですから。作業をこなすという考え方なら、30分前のご飯の方が彼らにとって便利なんです。でも自分の親に対して30分前からご飯をよそわないでしょう?
お風呂だって朝から晩までベルトコンベアーみたいに入れていく。それが従来の介護のやり方なんです。(従来の介護と比べると)僕のやり方は非常識きわまりない。例えば僕は今、できるだけおむつをはずしなさいと言っているんです。その代わりトイレ誘導をしっかりしなさいと。でも従来の常識ではおむつを付けていたほうが介護する側は便利だし、おむつ代も儲かる。だから「なんで渡邉社長そんなとんでもないこと言うの?わざわざ利益を減らしたいの?」となるんです。そこが最大のギャップでした。そうじゃないんです。ご入居者様の喜びが我々の喜びであり、彼らの幸せな時間が我々の喜びなんです。そこがなかなか分かってもらえませんでした。それが今の日本の介護の実態なんでしょう。

経営者は計算の前に、まず自分で誇れる心があるべき
自分がどんなノウハウを持ち、それをどう生かすかを考えるのが普通の経営です。でも僕はそういうことは考えない。まず何をやりたいかなんです。やりたいものがあって、それなら自分のノウハウの何が使えるか。順番が違うんです。例えば介護事業にしても、ノウハウがあるからとかもっともらしく語りますが、本当のところは違う。一番はやりたかったから。ほかの事業も同じ。農業だって、まず最初に日本の農業を何とかしたいと思ったから。結果的に外食のノウハウや販路にシナジーがあったわけですが、本当は好きなことをやっただけなんです。
社会のニーズも最初から意識したことはない。そんなことを考えながらでは力は出ないから。最終的に力を発揮するのは、本当にやりたいことをやる時です。それが結果としてニーズにぶつかり、世の中から支持される、それが経営のあるべき形では。経営者というのは、計算の前にまず心があるべきだと思うんです。

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